覆面調査会社に依頼できる内容
商業施設における覆面調査は、個別店舗の接客態度を確認するだけでなく、テナント全体の接客品質、施設環境、顧客導線、販促施策の見え方などを把握するためにも活用できます。
特に、複数テナントを抱える施設では、調査結果をもとにフィードバックや研修を設計し、現場の改善行動として定着させることが重要です。
接客態度のチェック
接客するスタッフの言葉遣いや表情、身だしなみ等、詳細な接客態度のチェックを依頼できます。覆面調査員が何らかの質問をした際に的確な応答ができるかどうか、また、覆面調査員が困ったような様子を見せている際に適切な対応ができるかどうか等も含め、様々な角度からスタッフの接客態度をチェックし、その評価を接客品質の向上へと役立てます。
店舗環境の評価
清潔感や整理整頓の状況、商品レイアウト、照明の明るさなど、全体的な店舗環境の評価を依頼できます。見た目の評価だけではなく、BGMの種類や店内の温度・湿度・香り、混雑時の動線なども店舗環境評価の範囲とし、得られた評価をより快適な店舗作りへと活かします。
商品・サービスの質の検証
対応するスタッフの説明の分かりやすさ、提供スピード、クオリティなどのチェックを通じ、商品・サービスの質の検証を依頼できます。たとえば飲食店の覆面調査の場合、気になる料理の説明(スタッフの知識を含む)、注文から提供されるまでのスピード、商品の鮮度などを検証し、その検証結果を顧客満足度向上へと役立てます。
競合調査
自社だけではなく、競合他社に対する覆面調査を依頼することもできます。競合他社が運営する店舗で自社店舗と同様の調査を行い、自社の弱みや競合他社の強みを明確化。その評価を自社の競争力向上へと役立てます。
オンラインサービスの調査
実店舗以外にも、オンラインサービスの覆面調査を依頼することも可能です。調査する項目は、サイトの操作性や購入フローが分かりやすいかどうか、選択できる決済方法が適切かどうか、FAQの内容が充実しているかどうか、カスタマーサポートの品質や対応スピードに問題がないかどうか、など。調査を通じて改善点を明確にし、ユーザー満足度の向上につなげます。
調査の流れ
調査目的の明確化
最初に、覆面調査の目的を明確にします。
主な目的の例は、「顧客満足度の向上」「スタッフの接客態度の改善」「新サービスや新商品の品質検証」「競合他社との比較」など。これら一般的な目的のほか、自社オリジナルの調査目的を加えれば、他社との差別化につながる有益なヒントを得られるかもしれません。
覆面調査を行う際には、事前に意味のある調査項目を設定することが不可欠。意味のある調査項目を設定するためには、調査目的を明確にすることが前提となります。
覆面調査会社の選定
調査目的を明確にしたのち、実際に覆面調査を依頼する会社の選定を行います。
選定のポイントは、「調査実績」「対応範囲」「費用の目安」「レポートの内容・品質」など。自社の業界に精通した覆面調査会社があれば、積極的に選定の候補へ入れましょう。
ほかにも、調査員のトレーニング体制や調査後のフォローアップの程度なども、覆面調査会社を比較する際の基準に入れておくと良いでしょう。
調査項目の設定
覆面調査会社の選定後、実際の調査で評価する具体的な項目を設定します。例えば、店舗スタッフの接客態度や商品・サービスの品質、店舗環境、オンラインサービスの利便性などです。調査項目の設定に際しては、覆面調査会社のアドバイスも参考にしましょう。調査項目の設定と並行し、調査手法(訪問、電話、オンラインなど)、および評価基準なども明確にします。
調査項目、調査手法、評価基準のいずれも具体的であればあるほど、調査結果の信頼性や有益性が高まることを理解しておきましょう。
調査員による実施
設定した調査項目・調査手法に従い、実際に調査員が覆面調査を実施。訪問型の調査であれば、覆面調査員が一般顧客として店舗を訪問し、客観的な視点から調査項目をチェックします。また、オンライン型の調査であれば、覆面調査員がECサイトの操作性やカスタマーサポートなどを直接チェックします。
調査終了後、調査員は客観的な視点から詳細な評価レポートを作成します。なお覆面調査業界の中には、サービスの品質向上のため、定期的に調査員向けの研修を行っているところも少なくありません。
調査結果のフィードバック
調査完了後、覆面調査会社からレポート形式でのフィードバックが行われます。
フィードバックの内容は、事前に依頼されていた調査項目の状況と各項目の評価、必要な改善点など。数値とコメントを合わせた詳細なレポートによりフィードバックが行われます。
フィードバックを受けた社内では、レポート内容をもとに社内会議等を実施。改善点の優先順位を設定し、具体的な改善策を策定。必要に応じ、追加調査を依頼することもあります。
改善施策の実施
社内会議等を通じて策定された改善策を実施します。
実際に行う改善策の例は、接客に関するスタッフ研修の実施、接客マニュアルの見直し、店舗環境の改善、新サービスの導入など。調査結果に基づいた改善策を実施することで、顧客満足度の向上や競争力の強化など、当初の調査目的に沿った成果に近づけることができるでしょう。
なお、覆面調査は1回実施して終わらせるのではなく、定期的に実施してPDCAを繰り返すことが大事。消費者ニーズは常に変化するため、定期的な覆面調査の実施を通じて内容のアップデートを図りましょう。
商業施設の場合、調査結果を施設運営側だけで確認するのではなく、テナントへのフィードバック、接客研修、改善目標の共有まで行うことで、接客品質のばらつきを抑えやすくなります。
そのため、覆面調査会社を選ぶ際は、レポート提出後の支援範囲や、現場に伝わるフィードバック・研修を行えるかどうかも確認しておきましょう。
覆面調査会社のタイプ別の選び方
飲食・小売向けの覆面調査会社
店舗の運営規模にもよりますが、もし全国展開するチェーン店が覆面調査を依頼するのであれば、全国対応の調査体制が完備されている覆面調査会社を選びましょう。
全国対応の覆面調査会社には安定した調査マニュアルがあり、調査マニュアルに沿って行動するよう研修を受けた調査員が多く在籍しています。全国どの店舗を調査しても、同じ客観的な基準による安定的な調査が期待できます。
サービス業向けの覆面調査会社
サービス業の覆面調査を依頼する場合には、業界特有の専門調査が可能な覆面調査会社を選びましょう。
たとえば、ホテルの覆面調査を依頼する場合には、チェックイン・アウトの手際の良さ、共有スペースや個室の清掃状態、スタッフの接客態度など、ホテル利用者の視点から的確に評価できる覆面調査会社を選びます。ほか、エステ業界や医療機関などの覆面調査にも専門性が求められるため、過去の実績等をよく確認の上で覆面調査会社を選びましょう。
BtoBサービスの覆面調査会社
BtoBサービスの覆面調査を依頼する場合には、法人営業の対応品質を評価できる覆面調査会社を選びましょう。
たとえば、訪問・電話営業の対応力、プレゼン能力、アフターフォローの品質などを評価できる専門性の高い覆面調査会社を選びます。自社の業界知識を持つ調査員が在籍しているかどうかも確認しましょう。
オンライン対応の覆面調査会社
オンライン対応の覆面調査を依頼する場合には、ECサイトやカスタマーサポートを適切に評価できる覆面調査会社を選びましょう。
たとえば、サイトの操作性や購入フローの流れ、決済の利便性、電話対応やメール等によるカスタマーサポートの質などを客観的に評価できる覆面調査会社を選びます。
覆面調査会社の費用相場
1回あたりの調査費用
調査範囲や調査内容により費用は異なりますが、1店舗のシンプルな覆面調査の場合、1回あたり約5,000~12,000円が相場となります。調査範囲が広く、かつ調査内容が複雑になれば、1店舗1回あたり50,000円ほどになることも珍しくありません。
長期契約・定期調査の費用
調査範囲や調査内容、調査頻度、契約期間などにより、費用は大きく異なります。また、覆面調査会社により費用構成も異なるため、一概に相場を示すことはできません。
基本的に、上記「1回あたりの調査費用」に準じて費用を算出する形となります。
業界ごとの相場
業界により調査範囲や調査の煩雑さ・専門性が異なるため、調査料金も業界に応じて異なる傾向があります。
たとえば、飲食店や小売店の調査費用は1店舗1回あたり5,000~12,000円ほどですが、ホテル等のように顧客の滞在時間が長い施設を調査する場合には、1店舗1回あたり15,000円以上になることが一般的です。
追加費用が発生するケース
特殊な条件下での調査や特別に詳細なレポートの作成を求める場合、通常料金とは別途で追加費用が発生することもあります。
たとえば、特定の年齢・性別を対象にした調査などを行う場合、調査スタッフの選定に手間や時間がかかることから、その分の追加費用を請求されるケースは珍しくありません。
予算に応じた覆面調査会社の適切な選び方
覆面調査を依頼する際には、自社の目的を達成できる会社かどうかを吟味することが最も大事。その上で、候補となる複数の覆面調査会社の仕事内容や費用を比較し、自社の予算内で依頼できる会社を選びましょう。
予算感は大事な問題ですが、予算を重視するあまり自社の目的を達成できなえければ本末転倒であることも十分に踏まえ、慎重に会社選びをしましょう。
商業施設が覆面調査会社を選ぶときの確認ポイント
商業施設・テナント運営への理解
商業施設の覆面調査会社を選ぶ際は、単独店舗ではなく、複数テナントを束ねる施設運営の課題を理解しているかを確認しましょう。
テナントごとの接客品質のばらつき、施設ブランドとの整合性、フロアマネジメント、販促施策との連動など、商業施設特有の課題を踏まえた調査設計ができる会社であれば、調査結果を運営改善に活かしやすくなります。
調査後のフィードバック・研修支援
覆面調査は、結果を知るだけでなく、現場の行動を変えるために活用することが重要です。
レポート提出後に、テナント向けのフィードバック、接客研修、改善アドバイス、個別面談などを行える会社であれば、調査結果を接客品質改善や顧客満足度向上に結びつけやすくなります。
レポートの分かりやすさと活用しやすさ
調査結果をテナントや現場スタッフに共有する場合、数値だけでなく、改善すべきポイントや良い点が分かりやすく整理されているかが重要です。
現場が納得しやすいコメントや、次に取るべき行動が見えるレポートであれば、調査後の改善活動につなげやすくなります。
調査設計の柔軟性
商業施設では、テナント業種やフロア構成、来館者層、施設の方針によって確認すべき項目が異なります。
接客、環境、導線、販促物、購買体験、顧客満足度など、自施設の課題に合わせて調査項目を調整できる会社を選びましょう。
継続的な改善運用への対応
接客品質や顧客満足度の改善は、1回の調査だけで完結するものではありません。
定期的な調査、前回比較、改善状況の確認、研修との連動など、PDCAを回しながら改善を定着させられる体制があるかも確認しておくとよいでしょう。